
ジャン・バティスタ・ピラネージは18世紀のイタリアを代表する版画家・建築家です。
牢獄と古代ローマ遺跡という二つのテーマが有名で、幻想的かつ緻密な空間表現で名を馳せました。
建築物とその内部構造を画題としたピラネージにとって、建物は単に実用的な構造物ではなく、思想や文化を表す媒体でもありました。 そのため彼の作品には遠近法や強い陰影が用いられ、鑑賞者が空間の無限性に圧倒されるかのような感覚を与えます。


ピラネージの代表作は、架空の牢獄を描き出した『牢獄』といえるでしょう。










この作品群では、巨大建築に幾重もの渡り廊下や階段を巡らせ、不安なざわめきを想像させる空間が画面に表れています。 精緻かつ夢想的な本作はのちにゴシックやロマン主義、さらには20世紀のシュルレアリスムや映画美術にまで影響を与えました。