澁澤龍彦著「フローラ逍遥」

澁澤龍彦著「フローラ逍遥」

 花の女神と同時に植物誌を指す「フローラ」

 本書は水仙を筆頭に罌粟や林檎など、植物ごとに画されているエッセイ集です。

ギリシャ神話や日本文学から著者の随想へと続く文章には和洋の博物画が挟まれており、植物を軸に広大な知の時空を渡り歩く一冊となっています。澁澤龍彦独特の幻想性や博物誌的な深みが折り重なり、短い文章でさっと読める一方、読み直すごとに花と記憶が深く結びつく、豊かな読後感が楽しめる作品です。

澁澤龍彦の著書はほとんど文庫化されており、近年は箱入りの本も比較的安価に入手することができますが、この「フローラ逍遥」は人気があり価格も下がらない数少ない単行本です。

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