



「幻想美術」をテーマに、中世から20世紀初頭までの西洋絵画・版画の作品集、展覧会図録を並べています。
幻想美術の定義は難しいものですが、ここでは、神話や小説、夢や異界、画家の想像力を通してここではない世界を描いた作品を幻想美術として取り扱っています。
出発点には、中世からルネサンスにかけての幻想的・寓意的な表現があります。



ボスやブリューゲル、デューラー、グリューネヴァルト、クラナッハ、カルロ・クリヴェッリ、カロといった作家たちは、宗教や神話、古典を背景にしながら、怪物や異形、死や黙示録的な世界を描いています。特にボスの絵「快楽の園」は特異な発想で描かれた未だ謎の多い傑作です。
そこからマニエリスム、アルチンボルドのような奇想の画家が現れ、バロック、ロココを経て18世紀以降のロマン主義の時代になると、人間の精神、内面へと向かう神秘的な表現が現れます。

ゴヤ、フュースリなどの画家見られるのは、悪夢の世界、見るものに恐怖を与えるおそろしい異形の悪魔や神。ウィリアム・ブレイクは、幻視によってこの世ならざるヴィジョンを絵画として表現していたと言われています。
19世紀後半には、象徴主義・世紀末美術を中心に退廃的・耽美的な芸術の世界がヨーロッパで花開きます。


その中でも特にルドン、モローは、幻想美術を代表する芸術家です。世紀末芸術の画家・版画家たちは、エロスと死のイメージにこだわり、科学を万能とする思想やアカデミズムに背を向け、神話、オカルティズム、幻想文学の世界に耽溺しました。

ロセッティ、ミレイ、バーン=ジョーンズ、ウォーターハウス、レイトン、アルマ=タデマなど、ラファエル前派とその周辺の画家は現代でも人気。ラファエロ以前の古典的な芸術を理想として、神話、文学的主題を通じて色彩豊かな世界を描いています。ラファエル前派の画家が作り上げたファム・ファタール像は、後世の画家にも影響を与えています。
一方で、幻想は絵画だけでなく、挿絵や装飾美術の分野でも豊かに展開しました。


ビアズリー、アラステア、ハリー・クラークなどは、線描や装飾を通して、耽美的でどこか不穏な幻想世界を作り出しています。


また、妖精画、物語の挿絵、モダンなファッション画などに関する本も扱っています。アーサー・ラッカム、デュラック、バルビエ、ニールセン、そしてグランヴィルなど。
幻想美術をテーマに掲げたなら、ボス、ルドン、モロー、ブレイク、ビアズリーあたりは幻想美術古本を扱う上で常に置いておきたいですし、ベックリーン「死の島」が載っている本が無いのはあり得ない…と思ってしまうのですが、古本の在庫は基本的に一点限り。特定の作家を常に揃えることは理想ですが、古本屋という性質上、入荷は案内せず流動的です。その時々で見せ方は変わりますし、幻想美術を代表する画家の本が在庫切れの時もあります。それでも棚全体の世界観とクオリティは変わらないように、仕入れに励みたいと思います。
また、下段には、比較的手に取りやすい図録や入門的な美術書を置いています。上段の画集な図録も、意外と値段が手頃な本もありますよ。まずは幻想美術への入り口として気になる絵を探していただければ幸いです。

幻想美術にすでに親しんでいる方にも、初めて触れる方にも、見応えのある棚を目指しています。同好の趣味の方は、本の整理の際はぜひ買取についてもご相談ください。