ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージは版画家・建築家として活動し、詩情ある空間を描き続けました。職人の仕事と美術が共存していた18世紀ローマにて工房を構え、インテリアデザインを手がける一方で何千枚もの銅版画を制作しています。
ピラネージは古代ローマの建築に執心しており、当時すでに廃墟と化していた遺跡を主題とした作品が多く存在します。さらにはローマ的な建築の特徴を組み合わせ、幻想の監獄という独自のイメージをも描きました。
画面では正確な曲線や直線の交わりが広い空間を幾何学的な美で支配し、群衆や草に侵略されてなお圧倒的な威容を讃えています。石材の質量や奥行きがリアリスティックに描写されており、巨大な建築に相対した時に感じる威容をも映しているかのようです。