シュルレアリスムと響き合う感性から生み出された野中ユリの作品たち

シュルレアリスムと響き合う感性から生み出された野中ユリの作品たち

野中ユリの銅版画集、野中ユリが挿絵を担当した本を集めました。

シュルレアリスムからの影響を感じる詩的なイメージにあふれる作品の数々、作家の澁澤龍彦との共作なども含むラインナップを紹介していきます。

▼コリントン卿登場

稲垣足穂(文)・野中ユリ(絵)・種村季弘(評論)

稲垣足穂の短編小説の超現実的な物語性を拡張させるような野中ユリの挿画が印象的。種村季弘による評論「模型の世界」の哲学的視点もスパイスとなり、メタフィジックな幻想世界を愉しめる書としてコレクションしておきたくなる1冊。

▼彷徨引力

野中ユリの絵画と版画を収録。縦43cmの大判、限定200部。

1970年代初期の野中ユリの作品集として、彼女の表現者としての成熟期を示す資料のひとつと言えます。

「彷徨(さまよう)」と「引力(引きつける力)」というタイトルから期待される幻想の世界。内的な重力、意識の流れや移ろい、引き合う力などが幻想的に表現されています。

▼妖精たちの森

野中ユリ(画)+ 文:澁澤龍彦
野中ユリの幻想的作風を象徴する画集のひとつ。

▼狂王

著者(文):澁澤龍彦、装絵・コラージュ:野中ユリ

▼ 限定275部の内、B版限定100部のうち、181番 刊行後記付 著者・作家署名入り

1966年に限定275部で発行された稀覯本。
バイエルン(ドイツ)の国王、ルートヴィヒ II 世を題材とした物語作品。
ルートヴィヒ II 世は音楽(特にワーグナー)や建築、美への耽溺が強いことで知られ、国政よりも芸術や理想世界に没入したというエピソードを持つ人物。彼が抱えていたとされる孤独や非現実的な精神世界は精神史の分野や王室の歴史といった観点からも研究対象とされますが、この本では文学的なアプローチで狂気と美を描きます。野中ユリと澁澤龍彦、2人の感性は非常に親和性が高く、共同作業でもその魅力が際立ちます。

▼ こちらは1994年刊行のもの。

ほか、野中ユリ関連としては 装幀を手掛けた「吸血鬼幻想」と「ヨーロッパの乳房

」を販売中。

 

著者署名入りです。

 

シュルレアリスムと響き合う感性から生み出された静謐で洗練された詩的世界。中性的な官能性が香るような野中ユリの作品の数々に触れるきっかけとなれたら幸いです。

 

Back to blog