鉱物、そして美的な科学に関する本を集めました。鉱物の結晶は幾何学的な分子構造を持ち、昔から多くの人々の興味を引いています。例えば、日本の作家では宮沢賢治や稲垣足穂が鉱物に魅了されていました。
博物学者の荒俣宏は著書『理科系の文学誌』で生命が不完全な結晶から始まったことを指摘し、人間の鉱物愛好は完全な存在への憧れかもしれないと述べています。確かに、鉱物が合わせ鏡のように完結した美を連想させることは、澁澤龍彦の『犬狼都市』やJ・G・バラードの『結晶世界』でも描かれています。
硬質で鉱物は長い時間をかけて形成され、適切な条件が整えば無限に成長する可能性があります。このような時間と空間の広がりが、作家や読者に理想美を幻視させるのかもしれません。